「生きて妻のもとへ帰る」 日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、 仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた……。 人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、 太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。 祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。 元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は 健太郎たちの予想もしないものだった。 凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、 生に執着する戦闘機乗りーーそれが祖父だった。 「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、 なぜ特攻に志願したのか? 健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた 驚愕の事実にたどりつく。 はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語!おすすめ。